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症例の概要(図1〜12) 患者は20代、男性。部の疼痛および腫脹、排膿を主訴に来院した。 X線写真およびCT画像から、小指頭大の病変を認めた。保存的治療を第一に検討を行ったが、再根管治療での限界と現在生じている疼痛のため、患者と相談のうえで抜歯を選択した。
近心根が抜歯後に放置されていたが、他には大きなう蝕や歯周疾患はみられず、また咬合にも問題はなかった。
治療計画としては、の抜歯後に骨移植を行い、その後の経過を診て接着性ブリッジとする案を立て、患者の理解を得た。なお、抜歯と同時での骨移植は感染や軟組織の閉鎖の問題から、行わなかった。
抜歯後1ヵ月、再度周囲のフラップを大きく開け、骨移植を行った。なお、外科的侵襲の問題から自家骨採取は避けてBio-Ossを使用した。
骨移植後4ヵ月、周囲組織はほぼ良好な状態に回復したが、歯頸部・軟組織の陥凹部に食片の残渣と発音の不具合(息が漏れる)があり、上皮下結合組織による軟組織の増大を図った。その後3ヵ月治癒を待ち、審美的要求からジルコニアフレームでの接着性ブリッジにて補綴を行った。
前歯部欠損補綴のトリートメントデザイン
小川勝久・木本克彦 著(デンタルダイヤモンド社)
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